五行歌
この詠い方があるのを以前に知ったのは、多分、この本の著者鮫島龍三郎さんが所属する「五行歌の会」のことが新聞か何かメディアだったかで取り上げられていた時のことだったと思います。
市井社刊「そらまめ文庫」の一冊です。
短歌でも、俳句でもなく、詩の一つの形態といったらいいのでしょうか。
どのような感じの作品があるのかと、読んでみました。
目次です。
鮫島さんは「五行歌は、五行の『歌』『詩』です。ルールは五行、それだけです。短歌のように、五・七・五・七・七という音数の制限もありません」と仰っています。
印象に残った作品をいくつか。
生きることが
そのまま
あなたへの恋文となる
そんな一生で
ありますよう 三好叙(のぶ)子
夫婦、恋人、どのような関係であれ、正に「愛の讃歌」です。
嬉しい ただ
嬉しい
あなたがいること
あなかが笑うこと
あなたと生きること 詩流久(しるく)
さりげなく共に生き、暮らす。深い絆があってこそ。
つらいときも
うれしいときも
どんなときでも
目を閉じれば
あなたが笑っている 鮫島龍三郎(著者)
瞼に浮かぶ笑顔に安らぎ、祈る。
深夜の
ベランダは
宇宙船のデッキ
満月にむかって
船出する 中込加代子
ベランダから宇宙への旅路。スケールが大きい夢想ですね。
美しい人
あなたは
正面から
わたしを
みつめる 佐藤義朗
言葉なく、深く、たしかめあう。
短歌、詩という見えないフレーム、形式を感じることなく読め、自由に、奔放に歌っていて、言葉を拾い上げるのに、ともすると“呻吟”してしまいがちなのが可笑しく思えてきました。
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